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2016年02月05日

Entyリスク指摘記事の矛盾が気になった。BOOTHの記事の方も

Entyに潜む「同人の新しい売り方」のリスク
このエントリーね。

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違和感の根本に気付いたので追記(2016/02/06 23:00)

Entyで二次創作物売ったら権利者が怒って炎上するリスクがあるってのは、主従が逆で、二次創作が元々持っているリスクであって、Entyのリスクじゃないと言うこと。

追記終わり。
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気になったのは書かれているリスクの最初の2つ。
二次創作に関することと資金決済法に関すること。

二次創作のクラウドファンディングは敵視されやすいから止めた方がいいと言う謎理論。
資金決済法違反の片棒を担いでいるかもしれないと言う、二次創作と相反するスタンスでの指摘。

無許可の二次創作は完全な権利侵害で違法であり、権利者側が了承していないし、快く思っていない権利者もいる。
クラウドファンディングで資金を集めると完全な商業行為とみなされ権利者から警告や訴えられるリスクが高まるかもしれないが、そもそも違法なので初めからリスクがある。
資金決済法違反かどうかは関連する法律に詳しくないので知らないが、送る側、受け取る側、中間業者の3者とも了承して行っていて誰も困っていない。
資金決済法違反だとして、その制約があるのはマネーロンダリングに利用されないようにするためではないかと思われる。
クラウドファンディングを支援しているサービスはいっぱいあるので、資金決済法違反があるのなら寄付型がある他の有名どころも軒並みアウトだろう。
二次創作をグレーと言うのなら、この個人間送金もグレー。
二次創作を違法性は置いてといて利害からある程度許容しながら、個人間送金の違法を強調し利害を無視するダブルスタンダードが気持ち悪い。
上の個人間送金の利害説明のようなものがバランスを取るには必要。


3つ目の会社が怪しいと言うのはわかる。
新しいサービスを開始するネットベンチャーはだいたい怪しいけど。
問題があれば潰れるだろうし、利用するならリスク込みでやればいいだけのこと。
サービスを改善していって欲しいと言うのは同意。

法律違反については Google とかプライバシー完全に無視してストリートビュー始めたり、IT系で新サービス始めると従来の規制に引っかかって違反になったりするのはよくあることに思う。
資金決済法に関しては、個人間送金サービスで日本が遅れていることから改正の動きがある模様。
IT活用で個人間送金しやすく 金融庁が法整備検討


個人的にこのエントリーで他に気になるのは、二次創作のラインを恣意的に定めようとしているところ。
ファン活動と言うのなら即売会までじゃないかと個人的には思う。
無許可の二次創作は違法です、二次創作するのならリスクを承知でやった方がいいとまず書くべきではないだろうか。


BOOTHの問題はピクシブが販売事業者の代行オプションを用意すれば解決する 消された?

こちらは二次創作については横に置いておいて、今度は特定商取引法違反ではと言う指摘。
通信販売に対する規制 (1) 広告の表示(法第11条) で、省略できる項目などについて記載されている。
メール等で請求があった場合に答えればよい項目。
これを見ると省略も可能であるように思えるが、特定商取引法違反ではないか?と指摘している。


全体的にこの人の指摘で法律違反を厳密に指摘するところとなあなあなところが気持ち悪い。
何かを始める時は自分でリスクを勘案してやるものではないか。

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親告罪、非親告罪の違いがあると言う指摘があったので追記 (2016/02/06 18:40)。

まず、上記内容は元記事が公平性に欠けるもので、気持ち悪いと感じたから書いたものです。

厳密にいうのなら、上記グレーと書いたところは少し性質が違います。
著作権侵害は、違法だけど権利者が訴えるまでは捕まらないからグレー。
クラウドファンディング、パトロンサービスの寄付型は個人間送金に当たり、資金決済法違反となると見解が発表される、もしくは逮捕されるまでは違法が確定しないからグレー。
と言う解釈です。

「著作権法違反は権利者の告訴で初めて罪に問うことができる親告罪である」
「親告罪は被害者の訴えが無ければその時点では法律を犯しているというわけではない」
等の指摘がありましたが、親告罪には強姦などもあります。
強姦は親告罪だから違法ではないと言えるのか疑問に感じます(法律論の解釈によって諸説あるようです)。

私は、
無許可の二次創作は、権利侵害で、通説では違法で親告罪だから公訴は出来ない。
資金決済法は、非親告罪だから捕まる。
と言う認識です。
違法コピーや海賊版なども著作権侵害で親告罪(TPPで変わるようですが)ですが、違法じゃないと言うのは違う気がします(違法コピーって言ってしまってるし)。

本来は、事前に権利者に許可を得て二次創作するのが筋であり、無許可で勝手にやるのは泥棒などとあまり変わらないように思います。
ただ、権利者が黙認を事実上公言する(おかしいけど空気読んでと言うような)場合もあり、そのような半分許可状態のものもあると思います。
逆に権利者が厳しくて危険と認識しているものもあると思います。
その辺りリスクは個人の判断によることになると思いますが、罪の意識なくやるのは違うと考えています。


最後に、私はどちらかと言うとIT等のイノベーションによる利便性の向上を優先する思想なので、そちらよりになってしまっていると思います。
逆に元記事は現状の二次創作擁護もしくは守ろうとする思想よりで、そこに意見の衝突があるのだろうと認識しています。

投稿者 Takenori : 2016年02月05日 19:59



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