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2011年03月26日

太陽光発電でまかなえるかどうか

太陽光発電で全電力をまかなうというのは非現実的。
昼間の太陽が出ている時間にある程度電力を補うと言う用途が現実的な用法になると思う。
だから、他の発電方法と組み合わせて使う必要がある。

でも、一応太陽光発電だけでどうなるか計算してみる。

サニックスのページで太陽光発電の実運用時の発電量が公開されている。
2011年2月分発電日記

システム容量【3.15kW】となっている。
2月の総発電量は240.9kWh。
2月は28日なので、1日当たり平均8.60kWh。
1日ではシステム容量の2.73倍程度発電できていることになる。

ソーラーパネルを販売しているページでは、125W のもので1日の発電量目安375Wh程度(晴天時南向き設置)と書かれている。

以上から定格の3倍程度が1日の総発電量と推測出来る。
これはかなり低い。
24時間の内、日が出ているのが12時間としたら 1/4程度しか実際は効率発揮できていない。
そもそも最大でも様々な損失(温度、回路等)により太陽電池容量の70~80%程度になるようだ。

ドイツの太陽電池累計設置量は9.8GWに、2009年10月以降分が突出

太陽光発電が世界一で積極的に取り組んでいるドイツでは2009年分までを含めて 9.8GW。
ドイツでは2000年4月から積極的に取り組みだし、約10年でこの規模のようだ。

世界を牽引するドイツ太陽光導入でも世界一に

太陽光発電量は緯度や天候に影響されるが、上の約3倍をそのまま当てはめると29.4GWh が1日の発電量とする。
ドイツの人口は8175万人。
日本の人口は12756万人。
日本の人口は1.5倍なので、その分掛け合わせても 44.1GWh。

東京電力で公開されている「電力の使用状況グラフ」で平日の使用量を見てみると目視で平均3800万kW くらい。

これを24時間分で38GWx24=912GWhが1日の必要量。
これは上で出した44.1GWhの20倍。
しかも関東だけでこの量となる。
また、充電等は考慮していない。
とても太陽光発電のみで電気をまかなうことは出来そうにない。
言うまでもなく今の3月でこの状態。
夏場に電力使用量が1.5倍となるとさらに差は開く。


充電をリチウムイオン電池で行うとした場合どうなるか?
仮に半日分貯めると言うことで912GWhの半分456GWhを貯めておくのにどれくらいのリチウムイオン電池が必要か?
重量エネルギー密度 100-250 Wh/kgで高い方の250で考えると、4kgで1kWhになる。
456GWhを4倍した1.824Tg(テラグラム)が重量になる。
これは182万トンになる。

体積エネルギー密度 250-360 Wh/Lで高い方360で考えると、912/360=2.53GL。
東京ドームの容量は124万m^3。容量をリットルに換算すると1,240,000,000L。
つまり、約2倍。東京ドーム2個分の容量のリチウムイオン電池がないと電気を貯めておけない。

スーパーキャパシタがーと言う人がいるかもしれない。
スーパーキャパシタは、リチウムイオン電池よりも重くて容量も必要になる。
重量は3倍、容量は2倍程度必要なようだ。
つまり、もっと話にならない。
ただ、スーパーキャパシタの場合、少ない電力でも貯められるので、1日の利用可能な発電量が増す可能性はある。
また、少し発電量が落ちても供給量をある程度一定に保つために、少し電力を貯めておくと言う意味では価値がある。
容量については関係のない話だが。


シャープの太陽光発電パネル
三洋の太陽光発電パネル

三洋のパネルの方が発電効率がよいので、三洋の約17%で計算する。
( 研究段階の物であれば40%程度の効率が実現できているようだが、実際に使用出来ないもので計算しても意味はない。設置してもすぐに壊れたり性能発揮できなければ意味がないから )
1㎡のモジュール(パネル)が1000w発電する時の変換効率が100%。
17%なら、170Wになる。
これで1日分912GWhをまかなうのに必要な面積を計算してみる。
最初に書いた1日で約3倍を用いると、1㎡辺り1日で510W発電できることになる。
912,000,000,000 / 510 = 約1,790,000,000㎡

東京都 は2187.58平方キロメートル = 2,187,580,000㎡。
1,790,000,000 / 2,187,580,000 = 0.82。
つまり、東京都 の82%の土地に太陽光発電パネルを敷き詰めれば今の時期(3月)なんとかなる。
夏場、1.5倍なら164%の土地になるので、東京都 では足りない。
当然、高層ビルがあるとその影は無理だし、屋根は南向きでないといけないし、南向きでも北側の半分は使えないし、道路なども使えない。
実際に設置できる面積がどの程度かはわからないが、太陽光発電のみではやはり現実的ではない。

後、日本には梅雨があるのでその時期の発電量はかなり落ち込むことが予想される。
梅雨の落ち込みをカバーするという意味では、水力が良いかもしれない。
水が増えて発電量が増す可能性がある。
ただ、水力発電所が建てられる場所には限りがある。
また、太陽光発電は昼間の電気と割り切ってほとんど貯めないのが現実的だ。
太陽が出ていない時間は他の発電方法で補う形だ。

そこで夏場のピーク昼の1時~3時の6000万kWを補おうとした場合どうなるか計算してみる。
この時間帯に最大限発電できたと仮定して、17%の170Wで損失30%としたら、170*0.7=119W が最大発電能力とすると、60,000,000,000/119=約500,000,000㎡。
これなら東京都の23%程度になる。
昼間の暑い時間のみ何とかするために太陽光発電を使うのは、そこそこ意味があるかもしれない。
みんなの家に設置してもらえるまでにどれくらいかかるかはわからないが……
後、もっと人口を分散しないと土地が足りないのは明白。

投稿者 Takenori : 2011年03月26日 20:45


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